先日、大型台風の接近により公共交通機関が計画運休することになり、会社から『明日は出勤が不可能なのでお休みにします。』と言われました。時給で働いているので勤務が減ると困るため『給与の補償はしてもらえますか?』と聞いたのですが、『補償はない』とのことでした。これは違法ではないのでしょうか?
(姫路市 Mさん 24歳)
交通機関の運休で出社不可能な場合、ノーワーク・ノーペイの原則により支払いは生じません。
台風に伴う暴風雨や災害により、『公共交通機関の麻痺・運休などで出社が不可能な場合』『会社の施設・設備が直接的な被害を受け就業できない場合(不可抗力)』は賃金・休業手当の支払いは不要となります。また、通勤経路を迂回する、出社時刻をずらすなどして出社できるが、『従業員の判断で出社しない選択をした場合』なども欠勤となります。ただし、台風で客数が大幅に減少するので店舗を閉めるなどの場合は、不可抗力とは言えず、賃金・休業手当が必要となります。
台風や地震などの自然災害が発生した際、企業は従業員の安全を確保するための『安全配慮義務(労働契約法第5条)』を負っています。もし、無理に出社を命じ通勤中にケガした場合は、労災の認定はもとより損害賠償責任を負う可能性もあります。実務的には、有給休暇の消化を促したり、最近であれば在宅勤務を選択させるなどが多いのではないでしょうか。今回のご相談の場合であれば、計画運休で出社が不可能なのであれば『給与の補償はしない』対応は、違法にはならないと考えられます。(有富)
有富 貴弘
社会保険労務士・人事コンサルタント
神戸商科大学商経学部経済学科卒
2003年 社会保険労務士登録
2004年 アーク総合法務事務所に参画。労働紛争問(解雇等)、会社労務・助成金関連などを専門業務とし、特に人事労務管理には定評がある。
2016年 社会保険労務士法人Sign Postを設立し、代表社員へ就任。
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