給与のデジタル払いという言葉を最近聞いたのですが、給与のデジタル払いについて、その仕組みや導入の手続き、注意点などを教えてください。
(長田区 Dさん 35歳)
給与のデジタル払いとは、スマートフォンのアプリやデジタルウォレットを通じて給与を支給する方法です!
給与のデジタル払いは、従来の銀行振込に代わって、スマートフォンのアプリやデジタルウォレットを通じて給与を支給する方法です。2023年4月に賃金のデジタル払いが解禁され、2024年8月に初めて1社が厚生労働省に指定されました。給与のデジタル払いを導入する場合、次の手続きが必要になります。まず、厚生労働省が指定した指定資金移動業者を確認し、企業側はどのサービスが最適かを検討します。そのうえで、労使協定を締結する必要があります。この労使協定には、対象となる従業員や賃金の範囲、取扱指定資金移動業者の範囲、サービス開始時期などを記載する必要があります。さらに、デジタル払いを希望する従業員に対する事前説明が求められます。デジタル払いを強制することはできず、他の支払い方法(銀行口座振込など)も含めた選択肢を提示し、従業員が十分に理解した上で希望するかどうかを確認します。希望する従業員には、個別の同意を取得することが必要で、給与デジタル払いの内容について詳しく説明したうえで同意を得ることが義務付けられています。なお、給与のデジタル払いは、企業側の義務ではないため、導入の判断は企業の自由です。しかし、将来的には指定資金移動業者の増加が見込まれ、従業員からのデジタル払いの要望が増えることも考えられます。また、支払いにかかる手数料が銀行振込よりも低額または無料になる可能性があり、コスト削減という面でのメリットも期待されています。(山田)
山田 真樹
社会保険労務士・行政書士
龍谷大学理工学部機械システム工学科卒
2005年 社会保険労務士登録
2006年 マサキコンサルティングオフィス設立。中小・零細企業から一部上場企業まで、これまで100社以上の企業に対し、労務管理に関するアドバイスを行う。
2016年 社会保険労務士法人SignPostを設立し、代表社員へ就任。
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