最近、働き方改革の一つとして、兼業・副業が推進されていますが、それに関連して、9月より複数の会社で働く人の労災保険給付の取り扱いが変わると聞きました。どのように変わるのでしょうか?
(東灘区 Sさん 35歳)
2020年9月より、労働災害が発生した場合、すべての勤務先の賃金額を合算した額を基礎に給付額等が決定されることになりました。
労災事故が発生した場合、これまでは発生した勤務先の賃金額のみを基礎に給付額等が決定されていました。これが、9月よりすべての勤務先の賃金額を合算した額を基礎として給付額等が決定されることになります。
例えば、今までは、本業の会社で25万円、副業の会社で5万円の賃金が支払われている場合、本業の会社で災害に遭った場合には25万円、副業の会社の場合には5万円が基礎となり労災給付がなされていましたが、9月からはどこで被災したとしても合算した30万円が基礎となります。
また、脳・心臓疾患や精神障害に関する労災認定についても、勤務先ごとに労働時間やストレス等の負荷を個別に評価して、労災認定の判断をし、それぞれの評価で労災認定されない場合は、すべての勤務先の労働時間やストレス等の負荷を総合的に評価して労災認定の判断が行われることになりました。(山田)
山田 真樹
社会保険労務士・行政書士
龍谷大学理工学部機械システム工学科卒
2005年 社会保険労務士登録
2006年 マサキコンサルティングオフィス設立。中小・零細企業から一部上場企業まで、これまで100社以上の企業に対し、労務管理に関するアドバイスを行う。
2016年 社会保険労務士法人SignPostを設立し、代表社員へ就任。
田中 宏昌
社会保険労務士・第一種衛生管理者
立命館大学法学部法学科卒
2006年 社会保険労務士登録
2009年 田中社会保険労務士事務所設立。労働保険の分野に強みを発揮し、特に労働災害の対応においては普通の社会保険労務士の枠を超えて訴訟の見通しをも踏まえた知識経験をクライアントへ提供する。
2016年 社会保険労務士法人SignPostを設立し、代表社員へ就任。
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