洋菓子店でパティシエとして勤務しています。業績が悪化している影響もあり、先日、「今後十分な給与を払えないかもしれない。退職を勧めたいのだがどうか?」と言われました。これは「解雇」には当たらないのでしょうか?
(灘区 Yさん 21歳)
「解雇」と「退職勧奨」は大きく意味が異なります!
「解雇」とは、「社員の同意もなく一方的に雇用関係を終了させること」であり、例えば会社で不正を行いその証拠も十分にあるなど、合理的な理由がなければ有効ではありません。一方で「退職勧奨」とは、あくまで退職を「勧める」ことであり、退職を強制せず、「社員の同意のもと退職届を自主的に出してもらう」方法です。
安易に「解雇」の選択をとることは、「解雇権乱用法理」が適用され、労働契約法第16条にて、「権利乱用により無効」となるリスクもあります。そのため、「退職勧奨」の選択が有用になります。
ただし、違法性が全くないとは言えず「脅迫や暴力行為とともに行っていた」、「社員に退職の意思がないのに度重なる勧奨により強要した」場合などは、問題となります。会社からの説明を十分に聞いた上で、決断いただくことをお勧めします。(有富)
有富 貴弘
社会保険労務士・人事コンサルタント
神戸商科大学商経学部経済学科卒
2003年 社会保険労務士登録
2004年 アーク総合法務事務所に参画。労働紛争問(解雇等)、会社労務・助成金関連などを専門業務とし、特に人事労務管理には定評がある。
2016年 社会保険労務士法人Sign Postを設立し、代表社員へ就任。
藤森 圭子
社会保険労務士・国家資格キャリアコンサルタント公認心理師
神戸大学教育学部卒
2006年 社会保険労務士登録
2008年 アーク総合法務事務所に参画。アパレル会社人事部での実務経験を活かし、労働社会保険諸法令に基づく手続き業務から労務相談まで幅広く精通している。
2016年 社会保険労務士法人Sign Postに参画。
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