
神戸を拠点に、あらゆるジャンルで活躍する
『輝く人』の直撃インタビュー!

アルティスタ
シェフ
中村 泰一郎 さん
特集でご紹介した六甲アイランド・神戸ファッションマート1階『Artista』のシェフを務めて20年になる中村泰一郎さん。お客様に「こんなところにこんなちゃんとしたイタリアンがある!」と思ってもらえることがプライドです、と語る。確かな技術と知識、食材の季節や産地、安心・安全にもこだわる中村さんに、本当に美味しいイタリアンとお酒についてお聞きしてみました。
南イタリアの料理は素材を生かすこと。
なので食材のすべてにこだわり続ける
中村さんが料理の世界に入ったのは、「イタリアン」というジャンルがようやく日本で認められ始めた頃。東京や神戸のイタリア料理店で、イタリアンの基礎的な技術や知識を徹底的に叩き込まれたという。「同じイタリアンでも、大きなお店だと料理が作業になってしまい、若手のうちはその一部を機械的にこなすだけになってしまう。全体像が見えないし、お客様の声も聞こえてこない。その点、自分は恵まれていたと思います」と中村さん。イタリア料理の原点は、素材の良さを引き出すこと。そのため、食材は地産地消を基本とし、野菜はもちろん、丹波や淡路の鶏、三田または神戸の豚、神戸市西区の天王山牛、そして明石の鮮魚と、徹底してこだわっている。特に魚については、ミシュラン星付きの店にも卸している目利きのプロの友人に一任しており、まるで高級寿司店に出てくるような鮮度の魚が手に入る。それを最大限に生かした料理で、お客様にご満足いただけるよう努めている。
美味しいお酒は、
気が付いたらカラになってるもの
店頭にはイタリアワインを中心にお酒がずらり。カウンターには、イタリアンビール「ペローニ」の生ビールサーバーも設置されている。栽培から醸造まで、極力人の手を加えず、有機栽培や天然酵母など自然の力で造られるナチュラルワインも多く取り揃える。仕入れの際には必ず試飲を行い、中村さん自身が「美味しい」と感じ、『Artista』の料理に合うと思ったものだけを選ぶ。「単にお酒好きというか、ワイン好きというか(笑)」。ディナータイムには、ワインに合うメニューが多くなるものの、「この料理にはこのワイン」といった固定観念はないという。「どうしても合わない場合もありますが、気分や体調によっても美味しさは変わります。食事しながらワイワイ喋って、気が付いたらボトルが空になっていた、というのが良いワインだと思っています」。さすが、本物のお酒好きの言葉には説得力がある。
パスタやチーズはイタリアから直輸入。
調味料やソースもイチから作る!
パスタはイタリア・ナポリ近郊にある伝統的なパスタ製造で有名な村・グラニャーノ産のものを使用。生ハムは今現在、イタリア産が豚コレラで輸入が止まっているため、イタリアの生ハムと同じ塩のみで作られたイタリア国境近くのフランス産の生ハムを使用している。チーズに関しても、たとえばパルミジャーノ・レッジャーノが高騰した際には、味わいが似ていて価格も抑えられるグラナ・パダーノに切り替えるなど、品質とコストのバランスを厳しくチェック。安心・安全な食材と調理法を追求するため、添加物の入った調味料は一切使用せず、必要であれば自分で作ってしまう。たとえば、通常は完成品しか流通していないパンチェッタも自家製!
三田ポークを塩漬けした後、スパイスを肉全体にまぶして冷蔵庫で乾燥させながら熟成させている。「料理人にはすごい人がたくさんいます。僕もいろんなお店に出かけたり、馴染みのイタリアンに行って刺激をもらうことも多い。お客様のリクエストには、期待以上でお応えしたいと思っているので、日々楽しみながら励んでいます」
取材ウラバナシ
厨房にも入らせてもらいましたが想像以上に広くて清潔! 魚、肉、野菜によってまな板を使い分け、調理器具は整理整頓、食材や調味料も綺麗に分類。安心・安全は食材だけでなく調理環境もこだわってこそ、というプロの視点を実感します。
中村 泰一郎(なかむら たいいちろう)
1976年7月生まれ、伊丹・川西で育ち22歳から垂水区在住。21歳で料理の世界に入り、東京・神戸のイタリア料理店で修行を重ねる。29歳の時に「アルティスタ」のシェフとして迎えられ、以来20年間、腕を奮い続ける料理人。

Artista(アルティスタ)
電話番号
☎078-846-4649
所在地
神戸市東灘区向洋町中6-9
神戸ファッションマート1F
営業時間
月・木・金・土・日
11:30~14:30(L.O.13:30)
18:00~21:00(L.O.19:30)
火
11:30~14:30(L.O.13:30)
定休日
水曜日
※掲載情報は取材時(2025年5月)のものになります。
