
神戸を拠点に、あらゆるジャンルで活躍する
『輝く人』の直撃インタビュー!


桃井製網株式会社
製造・技術管理部
柴﨑 順也 さん
製造・技術管理部
山仲 朗彦 さん
貿易部
中村 佳音 さん
環境に優しい漁網をつくる。
言葉にするとシンプルだが、その実現には数え切れないほどの試行錯誤があります。
兵庫県赤穂市に本社を構える桃井製網株式会社では、使用済み漁網を資源として循環させる「エコループプロジェクト」に積極的に取り組んでいます。今回お話を伺ったのは、このプロジェクトの最前線で活躍する柴﨑さん、山仲さん、中村さんの3人。それぞれ立場は違いますが、『未来の海を守りたい』という思いは共通していました。
「できない」ではなく、「どうすればできるか」
製造技術管理部の柴﨑さんは、原料メーカーとの交渉や各種試験を実施した原料選定・調達、品質管理、工場における製造条件の決定までプロジェクト全体を支える存在。
「最初はマテリアルリサイクルとして廃棄ナイロン原料を使っていましたが、強度が十分に出ず、何度も壁にぶつかりました。」
「漁網は漁師の大切な命を預かる道具。環境に優しいだけでは意味がない。十分な強度と耐久性を備えて、初めて製品として存在させることができます。何度も試験を重ね、たどり着いたのがケミカルリサイクルという新しい技術でした。」
「何度も配合を変え、試験を繰り返しました。苦労はありましたが、ようやく自信を持って紹介できる品質に仕上げられました」
その商品を携えて、営業部が漁師さんへの説明活動やYoutubeでの紹介プロモーションを実施。実際に会社のホームページからエコループ網の購入に関する問い合わせをいただいた時は、このプロジェクトに大きな手応えとやりがいを感じることができたそう。
「これからも原料の選別や加工技術の高度化に加えて、回収ルートやパートナーとの連携に、もっと力を入れていかなければ」
そう話す柴﨑さんの表情からは、技術者としての誇りが伝わってきました。

若手だからこその挑戦、そして夢を拡げていく。
山仲さんは入社して2年目にインドネシア工場へ長期滞在赴任。現場を見せてもらったと言います。
「半年近く海外工場で経験を積ませてもらいました。若手社員1人に対して、ここまで任せてもらえる会社は少ないと思います。」
一方で、営業同行で北海道の漁師を訪ねた際には、厳しい現実に直面したこともあったそう。
「エコやSDGsなど環境に良いといわれても、生活に直結し、命を預ける道具だから簡単には受け入れられない。」
漁師からのその言葉は大きな衝撃だったという。環境への配慮だけではなく、漁師の暮らしや安全も守らなければならない。
「使う人の立場で考えることの大切さを学びました。」
この経験が、山仲さんをひと回り成長させた。
「新規でエコループの注文が入るなど、プロジェクトに共感してくださる漁師さんも少しずつ増えてきていると感じます。この価値ある取り組みが正しく評価される未来になれば良いなぁと思います。」
山仲さんの夢は、このエコループ網を養殖産業にも広げていくこと。そして「エコループ網で育った魚が、近隣のレストランに登場する日が来れば」と夢はますます大きく膨らんでいます。

環境に取り組む会社で働きたかった
入社2年目の中村さんは、就職活動では「環境問題に取り組むメーカー」「海外と関われる会社」を軸に会社を探していたそう。
「ホームページで桃井製網のリサイクルの取り組みを知り、『ここで働きたい』と思いました。」
現在は貿易業務を担当し、2年目から海外出張で現地工場での研修や展示会に参加させてもらうなど、多くの経験を積ませてもらっている、と言います。
エコループプロジェクトの中では、Mrico(エムリコ)事業を担当。赤穂や北海道の魚介類を漁師から買い付け、神戸の飲食店へ卸す。オフィスの一角には業務用冷凍冷蔵庫があり、届いた魚介類を直接、徒歩で持っていくこともあるとか。
「このプロジェクトは、リサイクルで生まれた漁網で漁師さんたちが魚を獲り、その魚介類をレストランに購入してもらって、私たちが食するところまでを見据えたプロジェクト。MOMOIは製造メーカーですが、消費者との繋がりを作っていくことも大切なプロジェクトの一環なのです。」
もう一つ、一般の釣り好きの方にケミカルリサイクルの釣り糸を知ってもらう手段として生まれた『Sustina Line』ではパッケージデザインを担当。アースカラーを意識したポップな仕上がりは、他社製品とは一線を画し、メッセージが込められています。
9月にはアイスランドで開催される展示会への参加も決まっているそう。
「海外のお客様に、もっともっとエコループを知ってもらえるよう頑張りたいです。」
海外の販路を開拓し、広げていく。
世界へ向けて、中村さんの第一歩。社内外から多くの注目を集めています。

技術だけでは未来は変わらない
3人の話を聞いていて印象的だったのは、「環境に優しい製品を作れば終わり」ではないということでした。
品質、価格、漁師の理解、社会への認知。
どれか一つ欠けても、本当に普及する商品にはなりません。
だからこそ桃井製網では、動画配信や展示会、ホームページなどを通じて情報発信にも力を入れています。
「ホームページを見て問い合わせが来た。」
そんな声も少しずつ増えてきたそう。
技術だけでなく、伝えることもまた未来を変える大切な仕事として捉えられていて、今回のインタビューに応じてくださいました。
[編集後記]
インタビューを通して感じたのは、3人が3人とも、自分たちの仕事に誇りを持っていることでした。
海を守ること。
漁師を支えること。
未来へ技術をつないでいくこと。
その一つひとつを丁寧に積み重ねる姿勢に、桃井製網という会社の強さを感じることができました。
「未来の海を守る」
その挑戦は、まだ始まったばかり。技術は海を守る。人は未来を守る。桃井製網には、その両方を本気で考える若い力が育っていました。
桃井製網株式会社
兵庫県赤穂市中広1576-5
TEL:0791-43-2081
※掲載情報は取材時(2026年7月)のものになります。












