




捨てない選択。
ケミカルリサイクルが生み出す
「新品同様」の魔法
『漁網をリサイクルする』
それは想像以上に困難を極めた。
〜ケミカルリサイクル漁網の真髄〜
● 「環境にやさしいものを選びたい」けど、「品質が落ちるなら使えない」
桃井製網は、この壁に真正面から向き合ってきました。
世界中の漁業で使われるナイロン漁網は、魚を獲るための道具であると同時に、人の暮らしを支える”命綱”でもあります。だからこそ、わずかな強度の低下も許されません。
そんなナイロン漁網を、使い終えた網からもう一度つくる。言葉にするとシンプルですが、その道のりは決して簡単ではありませんでした。
一般的なリサイクルでは、プラスチックを砕いて溶かし、新しい製品へと生まれ変わらせます。しかし、漁網のリサイクルをこの方法で行うと、不純物が混入することや熱を加えるたびに素材の性質が少しずつ変化することが原因で、強度が落ちてしまうことがわかりました。
漁網にとって、その「少し」が大きな課題です。
そこで桃井製網が挑戦したのが、ケミカルリサイクル技術を活用した漁網づくりです。
使用済みのナイロン製漁網は原料メーカーによるケミカルリサイクル工程を通じて、一度ナイロンの原料であるモノマー(素材の元になる小さな分子)へ戻されます。
6ナイロンのケミカルリサイクルはこの黒板のような仕組みです。気になる人は見てね。

そして、そのモノマーからあらためてつくり直したナイロンは「ケミカルリサイクルナイロン」と称されます。桃井製網は漁網に求められる品質特性を満たすケミカルリサイクルナイロン原料を原料メーカーと共同開発し、その原料を用いた網づくりにいち早く着手してきました。
しかし、理論どおりにはいきませんでした。
- 糸の強度は十分か。
- 編み上げた網は実際の漁に耐えられるのか。
- 長く海で使っても性能を維持できるのか。
試作品をつくっては検証し、課題が見つかればまたやり直す。
原料メーカーによる素材開発と、桃井製網が長年培ってきた漁網製造技術を組み合わせ、何度も試作と検証を繰り返し、ついに品質劣化の無い既存製造と同等の品質のケミカルリサイクルナイロン漁網を完成させ、量産体制を確立しました。
新しく石化由来の原料を使う量が減り、限りある資源の有効活用とCO₂排出量の削減にもつながります。

● 環境を守り、品質を維持する。欲張りなのではなく、それが当たり前。
「環境にいいから、この品質で我慢してください。」
そんな製品は、プロの漁師には選ばれません。
だから桃井製網は、「リサイクルだから仕方ない」という妥協ではなく、常に「新品と変わらない品質」を目標に掲げました。
何度もリトライを重ね、品質と環境性能の両立を追求した結果、ようやく生まれたのがケミカルリサイクルによる漁網です。
使い終えた漁網を、新たな資源として循環させる。
それは単なるリサイクルではなく、「いいものをつくり続けながら、未来へつなぐ」という、ものづくりの新しい選択肢なのかもしれません。














