




脱炭素への挑戦
バイオマスナイロンが変える
漁網の未来
持続可能な漁業の実現に向けて、使用済み漁網のリサイクルに取り組んできた桃井製網。しかし、海洋プラスチック問題の解決や海洋資源の保全に加え、現代のモノづくりが直面しているもう一つの大きな課題が「脱炭素(カーボンニュートラル)」です。「循環させる」だけでなく、「原材料そのものを植物由来に変えていく」―。
エピソード2では、石油資源への依存を減らし、漁網の未来をアップデートする「バイオマスナイロン」への挑戦に迫ります。

● 「循環」のその先へ。脱炭素アプローチ型漁網づくり
エピソード1でご紹介した「エコループプロジェクト」における取り組みの1つとして、回収した漁網を原料に戻して再利用する「ケミカルリサイクル漁網」の仕組みづくりが挙げられました。しかし、従来のナイロン漁網は、その原点(原料)をたどると石油化学製品に行き着きます。
製造時や廃棄時のCO₂排出量を削減し、地球温暖化の防止に貢献するためには、「使用後の漁網をどう循環させるか」に加えて、「最初の原料をどう地球にやさしいものにするか」というアプローチが不可欠です。
そこで桃井製網が着目したのが、植物などの再生可能資源を原料とする「バイオマスナイロン」です。
● バイオマスナイロンがもたらす「脱炭素」の価値
バイオマスとは、サトウキビやトウモロコシなど、再生可能な生物由来の資源のこと。バイオマスナイロンの最大の特徴は、原料となる植物が成長過程で光合成を行い、大気中のCO₂を吸収することです(カーボンニュートラル思想)。石油由来だったナイロンをバイオマスナイロンに置き換えることで、以下のような大きなメリットが生まれます。
- CO₂排出量の削減
ライフサイクル全体において、温室効果ガス排出を大幅に抑えることができます。 - 化石燃料への依存脱却
限りある石油資源への依存を低減し、持続可能な産業構造へシフトできます。
「海を守る」取り組みから一歩進み、「地球全体の環境を守る」ための選択肢が、バイオマスナイロンなのです。

● 「タフさ」はそのままに。技術を結集した開発現場
「環境に良いのは分かるけれど、現場の苛酷な使用環境に耐えられるのか?」そんな疑問を持つ漁業者の方も少なくありません。ここでもケミカルリサイクル漁網と同様の課題が持ち上がります。
『激しい波や引き揚げ時の摩擦、長時間の強い紫外線下に耐えうる高い強度と耐候性』
環境負荷を減らせても、すぐに破れたり、寿命が短くなっては本末転倒です。
桃井製網では、創業から100年以上にわたり培ってきた製網技術と紡糸・品質管理のノウハウをフル活用。従来の石油由来ナイロンと同等の「強度」「柔軟性」「耐久性」を兼ね備えたバイオマスナイロン漁網の開発・試作を重ねています。
現場で働く漁師の皆様が、これまでと変わらない安心感と使い心地で作業できること。
それが、桃井製網の譲れないこだわりです。

● 未来の漁港へ、選択肢を広げていく
ケミカルリサイクルナイロン漁網による「循環型モデル」と、バイオマスナイロン漁網による「脱炭素アプローチ」。この二つの輪が合わさることで、桃井製網が目指す「エコループプロジェクト」はより強固で持続可能なものへと進化します。
『環境に配慮された漁網を使うことが、日本の漁業者の誇りになり、魚の価値を高める時代を作る』
桃井製網は、「漁網をつくる会社」から、「海の未来を考える会社」への挑戦を始めています。
次回は、これらのサステナブルな漁網が実際に現場でどのように活用され、地域の漁業とつながっているのか、現場の声とともにお伝えします。





















