
神戸を拠点に、あらゆるジャンルで活躍する
『輝く人』の直撃インタビュー!

株式会社インプルーヴ
代表取締役
工業ニットスペシャリスト
鈴木 弘美 さん
このままでは国産ニットが作れなくなる!
精度の高い技術を未来へ繋ぐために
アパレル業界、ニット業界のシュリンク(縮小化)が進む中で、鈴木さんは“国産ニットの危機”を痛感。国産ニットの技術、特に「リンキング(縫い合わせ)」技術を持つ技術者が高齢化し、引き継ぐ人もなく減り続けている現実に『ものづくり、という日本の宝がなくなってしまう!』という強い危機感を抱いたといいます。
長年、身近に見てきた精度の高い技術者の存在は、世界基準に照らしても引けを取らない日本のものづくりの価値の高さであり、自分たちがそのことを“知っている”最後の世代かもしれないと思い至ります。なんとかこの技術を次世代に引き継げないかと悩んでいたところ、縁あって見学会に参加した特別支援学校で生徒たちの真面目さや緻密さ、描写力の高さなどの才能に驚かされ、「この子たちにリンキングを学んでもらえないか」と提案、様々な紆余曲折を経て校内実習というワークショップ形式での取り組みが始まりました。しかし実際には、特別支援学校の生徒たちの就職先が極めて限られている現実も知ります。

“ひたむきさ”が光る未来
真面目に、丁寧に、最後までやりきる力を
ニット業界へ
「今の日本の教育は、サラリーマンを育てるための教育」と鈴木さんは言います。けれど、特別な個性を持つ子どもたちこそ、枠にはまらない才能を秘めている。その特性を活かせる仕事に出会えれば、一般的な人には到底できないような高い成果を発揮できる―。そんなひらめきを校長先生に理解していただき、神戸市内にある特別支援学校に『仮称:リンキング部』を設立。授業内の単なる体験ではなく、販売を前提とした完成度の高い“製品化”を目指し、試行錯誤の末に完成した「お守りチャーム」は、学校バザーで販売され、さらに楽天市場のショップや神戸市のふるさと納税の返礼品でも取り扱われるまでに成長しました。生徒たちが自信を持てるようになったことが何より嬉しいと語ります。

おまもりチャーム
青陽灘高等支援学校の生徒がリンキング縫製を活かしてつくりあげた商品。
自分を信じて!
“好き”を仕事にすれば人生はもっと楽しくなる
「女性は専業主婦が主流」だった時代に育ちながら、男女雇用機会均等法の施行とともに社会人になった鈴木さんは、「一生働ける仕事」を探し続けてきました。今の時代、学校生活だけでなく、社会に出てからドロップアウトしてしまう人も少なくありません。仕事を「収入のため・生活のため」と割り切る人もいますが、生きることにおいて働く時間は人生の時間のウエイトを大きく占めるもの。心が病んでしまい、自分の心がコントロールできなくなるのは、いつの間にか“誰かに支配されている”から―。そこから抜け出すには、いろんな外部要因を削ぎ落とし、自分が「やりたいか」「好きか」を突き詰めるしかないと鈴木さんは言います。
「仕事は好きなのに、会社や組織に合わない」「自分のペースが見えず、埋もれてしまう」―そんな人たちの苦しみに心を痛めながらも、鈴木さんはこう語ります。
「“好き”がはっきりしたなら、それをやめずに、別の場所や方法で続けてほしい。上手に逃げる方法を見つけてほしい。諦めなければ、きっとできると信じて!」
取材ウラバナシ
『一生、自分の力で生きていく』という強い言葉をご自身のモットーにしながらも、心の問題という社会問題に自らの立場から向き合い、支援を続ける鈴木さん。『好きか、好きではないか』というブレない軸を基本に、未来を切り開いてきたその姿勢からは、強い意志と、他者に寄り添う深い優しさを感じました。
鈴木 弘美 (すずき ひろみ)
神戸市中央区在住。1987年東洋ファッション工科専門学校卒業後、株式会社ワールドに入社。ニットチーフデザイナー、ディレクションなどを経て独立。2008年に株式会社インプルーヴを設立。現在は大阪モード学園・上田安子服飾専門学校の工業ニット上級講座の専門講師も務める。
自社ブランド「and.e」では、「社会で働きづらい」と感じる人々も参画できる環境作りを目指し、働く楽しさと社会と関わる実感を共有するなど、多様な人々と連携しプロジェクトに取り組んでいる。

株式会社インプルーヴ
電話番号
☎078-321-6808
所在地
神戸市中央区小野浜町
1-4 420号室
(デザインクリエイティブセンター神戸:KIITO)
※掲載情報は取材時(2025年10月)のものになります。









