
残暑厳しいある日の昼下がり。メリケンパークに粋なジャケット姿で現れた今成亮太さんは、颯爽とカメラの前に立った。次々とポーズを決めながら「僕、今モデルを目指しているんですよ。でもジャケットの下は滝汗です」と茶目っ気たっぷりに笑う。現役時代からチームの盛り上げ役だった彼の気さくな一面がのぞき、場の空気がフワッと和んだ。そんな今成さんの、これまでと、これからと。
父に鍛えられたトーク力
2018年にプロ野球選手を引退し、現在は野球ジムの経営と解説業を主軸にタレントとしても活躍。朝の情報番組ではスポーツコメンテーターを務め、軽妙な語り口とひょうきんなキャラで人気を集めている。「スタジオではいつも自然体。人前で話すことに慣れているのは父親の影響です」。
プロ野球界きっての名スカウトで知られた父・泰章さんは生粋の体育会系。「大勢の人の前で急に『誰々選手のまねをしろ』とか『10分間スピーチをしろ』とか、小学生の僕に平気で無茶振りをする人でした。おかげで鍛えられ、どんな場面でも物怖じせず話し続けることができます」。笑いのセンスにも長けていると自負し、得意と言う掛布雅之氏のものまねを披露してくれた。「今は元プロ野球選手と言われるより、芸人ですか?と聞かれる方が嬉しいです」。

酸いも甘いも経験したプロ時代
幼少期にプロ野球選手になることを決意し、高校野球の強豪校である埼玉・浦和学院に進学。親元を離れ、寝ても覚めても野球一色の生活は過酷を極めた。「グラウンドで笑ったのは2年生の夏と3年生の春に甲子園出場を決めた時くらい。厳しい日々を根性で乗り切り、3年生の終わりには垂れ目がつり目になっていました(笑)」。高校卒業後の2006年に捕手として日本ハムへ入団。1年目のキャンプでプロとのレベルの差に衝撃を受け、当時第一線で活躍していた新庄剛志氏が放つオーラに圧倒された。3年目に一軍デビューを果たすも、なかなか出場機会に恵まれず、12年にトレードで阪神へ。その後は外野手や三塁手、代打などマルチプレーヤーとして活躍したが、何でも器用にこなせることが自分の強みであり弱みでもあったと振り返る。「ケガをした選手の穴埋めとして重宝される一方で、ポジションが固定されずレギュラーを取るのは難しい。よく器用貧乏と言われましたが、そんな自分がイヤではありませんでした。ただ、器用貧乏を極められなかっただけです」。
セカンドキャリアをより豊かに
戦力外通告を受け、プロ野球人生は不完全燃焼に終わったが、「もう過去のこと」と未練はない。第二の人生は、経営者としてビジネスの拡大を目指しながら、アスリートのセカンドキャリアに新たな道筋を付けたいと力を込める。「自分の中のリミッターを外し、かけがえのない現役時代の経験を糧に、今成亮太という人間に価値を見出してくれる人たちとさまざまなことに挑戦したいと思っています。時代劇が好きだし、俳優業もおもしろそう。謙虚さを忘れず楽しみながら、人としてますます成長できれば最高です」。
プロフィール

野球ジム経営者・野球解説者
(元プロ野球選手)
今成 亮太(いまなり りょうた) さん
1987年埼玉県生まれ。
2006年に高校生ドラフト4巡目で日本ハムへ。2012年に若竹竜士氏とのトレードで阪神へ移籍した。2018年に現役を引退後は同球団の職員として働き、2021年に退職。2022年に株式会社V.Cを設立し、兵庫県に基盤を置きながら子どもたちに野球を教える他、幅広い分野で活躍している。
インフォメーション

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取材ウラバナシ
甲子園球場を埋め尽くすファンの視線と歓声を浴びた阪神時代は、グラウンドに立っているだけでアドレナリンが溢れたそう。「阪神ファンから飛んでくる独特のヤジも、きちんとプレーを見てくれているんだとありがたく感じていました」。