コロナ禍で元気をなくしてしまった神戸で、今秋新しいプロジェクトが立ち上がった。神戸育ちの経営者たちが集まり、再び街を明るくしたいとスタートした「夢KOBE PROJECT」。その代表を務める小笠原由晃さんに、プロジェクト発案の背景や今後の展望などをうかがった。
キッチンカーで街に新たなにぎわいを
「夢KOBE PROJECTは、キッチンカーで神戸の街を盛り上げようというプロジェクトです。以前、兵庫区の笠松商店街振興会で理事長をしていた時にまちづくりに取り組んだ経験から、神戸市の未来構想を仲の良い経営者仲間3人と話したことがありました。するとみんなの考えが一致。このメンバーなら本当に神戸の街を変えられるんじゃないかと感じました。コロナの影響で沈んでしまった街を目の当たりにして、僕らでどうにか元気にしようと、立ち上がることを決めたんです」。準備したのは大型のキッチンカー4台。まずはモザイクや東遊園地など、神戸らしい場所をキッチンカーで訪ね、出来立てのおいしい料理を多くの人に届けたいと意気込む。「メンバーのうち、僕も含めた3人が飲食店を経営しています。その強みを生かして、料理人が作る本格的な味を店以外でも楽しんでもらいたいなと。僕らは食のプロですから、設営や盛り付けなどを工夫して、神戸っぽいおしゃれさにもこだわろうと思っています」。
災害支援に子ども食堂 アイデアは泉のごとく
キッチンカーは災害活用も想定しているという小笠原さん。「25年前にはプロジェクトメンバー全員が阪神・淡路大震災に遭い、辛い思いをしました。うち1人が防災関連会社を営んでいることもあって、災害時に対応できるようキッチンカーには非常食や毛布などの防災備蓄用品や蓄電池を搭載しています。神戸市は災害時の困りごとがよく見えているので、市とも連携を取ることで、災害地が来てほしいタイミングに、本当に食べたい料理を提供したいと考えています」。志を同じくする人にはキッチンカーをレンタルしたり、イベントを企画したり。子ども食堂の役割も担えるのではないかなど、キッチンカーを活用したアイデアは毎日どんどんと湧き出て、整理するのが大変だと笑う。
下町育ちの人情家が神戸の未来を切り開く
長田区で生まれ育った下町っ子の小笠原さん。20歳の時に母親と地元で訪問介護事業を立ち上げ、事業家として歩み始めた。現在は、夢KOBE PROJECTを背負いながら、飲食店や美容など複数の事業を展開する株式会社OGAの代表取締役として多忙な日々を送る。「これまでOGAでは、後継者がいない会社を引き継いだり吸収したりしてチャレンジを続けてきました。僕は人から相談されたら、その気持ちに応えたいと思うほう。問題を抱える会社の改善点を見つけて立て直すことにやりがいを感じます」。社員やスタッフを「ファミリー」と呼ぶ人情家。自分の周りの人たちを幸せにしたいという思いで仕事に励む。その優しさと情熱が、神戸にまた新たな光を灯してくれると期待したい。
プロフィール
夢KOBE PROJECT 代表
株式会社OGA 代表取締役
小笠原 由晃(おがさわら よしあき)さん
1984年神戸市生まれ。訪問介護事業、飲食店「鬼平コロッケ」「焼き肉ロック」の経営、美容事業、コンサルティング、M&Aなど多角的に事業を展開。趣味は仕事と言い切り、経営本を読んで心に留まった言葉やテクニックをメモした自前ノートをテキストに、社員を集めて「社長塾」を開くことも。NPO法人K.O.B.E、神戸ケアエース相談役。
インフォメーション
キッチンカーで新しいことにチャレンジしたい
仲間を募集中!
「キッチンカーでイベントをしたい」「うちの店の料理をもっとたくさんの人に提供したい」「神戸を盛り上げたい」など、夢KOBE PROJECTに賛同してくれる仲間を募集しています。問い合わせはOGAへ。
株式会社OGA | ☎078-252-1161 |
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所在地 | 神戸市中央区生田町3丁目3-19 4階 |
取材ウラバナシ
セールスポイントを尋ねると、「鈍感力ですかね。嫌なことはすぐに忘れてしまう性格なんで」(笑)と小笠原さん。どんな時も前向きで、落ち込むことはないそう。取材中も笑顔が絶えず、楽しく話してくださいました。