訪問理美容の経営者とフェイスペイントアーティスト。2つの異色な肩書きを持つ平岩さんは、水道筋商店街に構えるプライベートサロンのオーナーでもある。いつも笑顔を絶やさないパワフルな彼女の原動力とは。
がんばりすぎず続けてきて 今がある
どれが本業?って聞かれることもありますが、私にとって一番は訪問理美容の仕事。病院や自宅などを訪問し、お年寄りや体が不自由な人のヘアカットをさせてもらっています。何より嬉しいのは、みなさんが私を心待ちにしてくれていること。食べていってとお寿司が用意されていたり、帰りにお土産を持たせてくださったり。アメ買ってきてーとおつかいを頼まれることもありますよ(笑)」。人生の先輩から聞く話に多くを学び、きれいになったと喜んでもらえて収入も得られる。こんなに良い仕事は他にはないと声を弾ませる。
父親の介護をしていたとき、懸命にケアする医療者らの姿に感銘を受け、子育てをしながら介護士の資格を取った。すでに持っていた美容師の免許も生かせると、訪問理美容の扉を叩き、お客さんから背中を押されて独立。「誠実に、ダラダラ、コツコツ」とやってきたことが、10年経った今、実を結んだとほほえむ。飾り気のない語り口や人懐っこさが平岩さんの魅力。「あんたが来てくれたら元気になるわ」。訪問先での何気ない言葉が、日々のモチベーションを上げてくれる。
ボランティアを通して 感謝の心を伝えたい
平岩さんのもう一つの顔であるフェイスペイントアーティストへの道は、愛娘が導いてくれた。「暮らしているマンション内で娘がハロウィンイベントをしたいと言い出し、私も何かで参加しないと、と思ったことがきっかけです」。手先の器用さを生かして顔に描くのは、額から血が流れ、蜘蛛が頬をはうなどリアルなホラー系のイラスト。作品をSNSでアップすると、次々と依頼が舞い込むようになった。
フェイスペイントや訪問理美容の仕事を通して多くの縁が生まれたことに感謝しかないという平岩さん。少しでも恩返しできればと、最近はボランティア活動に力を注いでいる。フェイスペイントのチャリティーイベントを開催して、特別支援学校や動物保護施設などに寄付を続ける胸の内には、こんな熱い思いも。「さまざまな環境下にいる人や動物たちを一人でも多くの人に知ってもらい、みんなで助け合っていけるようになればいいなと思うんです」。
「強く思い、諦めず、信じて進めば夢は叶う」が信条。平岩さんは揺るぎなく前を見つめ、今日もどこかで笑顔の輪を広げている。
プロフィール
訪問理美容 Sara(サラ) 代表
平岩 由紀(ひらいわ ゆき)さん
1977年和歌山県生まれ。18歳の時に日本高等美容専門学校に進み神戸へ。2010年から訪問理美容を始め、2012年にプライベートサロンをオープン。独学でスタートしたフェイスペイントの活動も8年目を迎える。趣味は読書、旅行、アウトドア。美術館や博物館をめぐりで感性を刺激する。
インフォメーション
訪問理美容 Sara(サラ)
施設などへの出張理美容を行う。エリアは兵庫区から芦屋まで。また、プライベートサロンは完全予約制。隠れ家的な空間でゆったりと特別な時間が過ごせる。どちらも問い合わせや予約は下記URLから。
URL | https://sara325.sakura.ne.jp/ |
---|---|
所在地 | 神戸市灘区水道筋6丁目1-16 2F (プライベートサロン) |
取材ウラバナシ
プライベートサロンでは、お客さんと喉がカラカラになるまで話しているという平岩さん。すっかり夢中になって、お客さんが支払いを忘れてしまうほどだそう。フレンドリーな平岩さんにカットしてもらいたい人は、ぜひ水道筋商店街へ。