ここにしかない特別な味と時間を求め、コロナ禍でも客足が絶えない「ガーデンレストラン風舎」。お客さんの期待に応えようと、毎日熱心に仕事に取り組む、オーナーの上原功士さんに会いに行った。
思い立ってすぐに行ける楽園
神戸市兵庫区にある菊水ゴルフクラブ。車はその敷地を抜け、木々に囲まれた細い山道をゆっくりと登っていく。すると次第に視界が開け、レンガを施した瀟洒な建物が現れた。丘を登り切った先に広がっていたのは、胸が高鳴るほどの絶景。澄み渡った空と海の向こうには、関西国際空港が望め、夜になると眼下に神戸の街並みがきらめく。この唯一無二の眺望と、こだわり食材を使ったフランス料理を堪能できるのが「ガーデンレストラン風舎」の魅力。3000坪の敷地内にはブルーベリー園や乗馬クラブもあり、休日は家族連れの笑い声が響く。季節や時間によって目まぐるしく表情を変える景色は、飽きることがなく、オーナーである上原さん自身も毎日癒やされているという。
義父の思いを受け継ぎオーナーに
上原さんがレストランやブルーベリー園のマネジメントを、先代である義父から任されたのは2年前。「今、レストランなどがある場所は、50年ほど前まではゴルフコースが広がり、茶店が建っていました。当時も景色はすばらしく、ゴルフ場を経営していた義父のお気に入りの場所でしたが、大雨被害により利用が困難に。残念に思った義父は、荒れた地を自らの手で整備し、新しくこの事業を始めました」。今も土地の手入れに勤しむ義父の姿に、刺激を受けているという上原さん。その情熱を引き継ぎ、イタリアンレストランでのマネージャー経験を生かした新たな経営に奮闘する。提供する料理は、化学調味料を使わず、乳製品を控えた体を思いやるメニューへとシフト。従業員がやりがいを感じられるよう働き方を見直し、SNSを活用して集客アップにも注力してきた。またブルーベリーは、化学肥料に頼らない栽培方法を研究。自然に近い状態で育成した果樹は、夏になるとみずみずしい実をつける。コロナ禍でも売上に大きなダメージがないのは、上原さんがコツコツ積み重ねた努力の成果だ。
神戸の風景に重ねる故郷の面影
第2子の誕生をきっかけに、故郷である沖縄から妻の実家がある神戸へ移住し、今年で11年目。沖縄にいた頃は仕事に追われ、心身のバランスを崩したこともあったが、今は家族との時間を大事にしながら仕事に打ち込め、幸せを噛みしめている。「海や山が近くて、外国人もたくさん暮らす神戸は、私が生まれ育った那覇と似ている気がします。神戸に来てからはフットワーク良くいろんな場所に出かけ、多くの人との出会いを通して、自分の考え方や物事の視点がアップグレードされました」と穏やかな笑顔を見せた。遠出をして思い切り羽を伸ばすには、まだ少し気がかりな今。次の休日は近場のオアシスで、ひとときのリフレッシュを楽しみたい。
プロフィール
有限会社けいぐすく代表取締役
ガーデンレストラン風舎 オーナー
上原 功士 (うえはら こうじ)さん
1976年沖縄県生まれ。
32歳で結婚し、35歳で12年間勤めたレストランを退職。
2012年に神戸へ移住し、2020年より現職。
3人の子どもにはたっぷりと愛情を注ぎ、休日に妻とランチに出かけるのが息抜き。
インフォメーション
ガーデンレストラン風舎
子どもやペット連れも歓迎の一軒家レストラン。ウッドデッキではバーベキューも楽しめる。来店の際は事前予約が必要。営業日や予約についての詳細はHPヘ。手間をかけて仕込む自家製スモークも人気。
取材ウラバナシ
天気の良い日は、わずかにUSJの花火も拝めるとか。次はぜひ、夜に訪れてみたいと思いました。