2023年4月より、給与の支払い方のひとつとして、デジタル払いができるようになると聞きましたが、具体的にどのようになるのでしょうか?また、すべての会社でデジタル払いが導入されるのでしょうか? (中央区 Dさん 35歳)
「給与のデジタル払い」とは、スマートフォン決済やプリペイドカード、電子マネーなどといったデジタルマネーを利用して給与を支払う方法です。
労働基準法施行規則が改正され、2023年4月1日に施行されることが確定しました。労働基準法では、賃金は原則、通貨で直接従業員に、その全額を支払わなければならないと規定されています。いまは銀行口座等に振り込むことが当たり前のようになっていますが、実は、法令では従業員の同意を得た場合に、銀行口座等に振り込むことが認められています。2023年4月1日からは、給与をデジタル払いすることが認められることになりますが、こちらも従業員が同意した場合に可能となるものです。なお、今回の改正では、賃金の支払い方の選択肢が増えるというものですので、給与のデジタル払いが会社の義務になるわけではありません。会社として賃金の支払い方の選択肢を示し、その中から従業員が選択、同意した方法で支払う形になります。デジタル払いについては、事前に労使協定を締結した上で、預貯金口座との相違や破綻時の保証、不正引出の補償等の注意すべき事項について、会社が従業員に説明した上で同意を取る必要があります。ですので、会社としてはデジタル払いには対応しないという選択肢をとることもできます。(山田)
山田 真樹
社会保険労務士・行政書士
龍谷大学理工学部機械システム工学科卒
2005年 社会保険労務士登録
2006年 マサキコンサルティングオフィス設立。中小・零細企業から一部上場企業まで、これまで100社以上の企業に対し、労務管理に関するアドバイスを行う。
2016年 社会保険労務士法人SignPostを設立し、代表社員へ就任。
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