企業の人事担当者として採用業務に就いています。先日、中途採用した内定者から『性自認は男性、外見の上でも男性に見えるが、戸籍上の性別は女性である』と言われました。これまでそういったケースがないのですが、どのように対応したらいいのでしょうか?
(芦屋市 D子さん 28歳)
まずはできるところから取り組んでいきましょう!
現在、日本で『セクシャルマイノリティ』と呼ばれる人たちは約1割程度いるとも言われており、左利きの人の割合とほぼ同じです。カミングアウトをしていない社員がいることも十分考えられるでしょう。ただ、いきなりトイレや更衣室などの設備を整えることが難しい状況もあると思います。まずは、本人との面談を行い個々のニーズに応じた合意的配慮をしていくことが重要です。
また一方で、社内書式の性別欄は自由記述にすることや社員研修で適切な知識を伝えていくことはすぐにでも取り組めるでしょう。さらには、ホルモン治療が必要な場合に時間単位の年休が取得できるようにする、相手方の性別を問わず事実上婚姻関係と同様の事情にあるものについて配偶者(パートナー)とし、法律婚と同等に取り扱うための規程を整えていくことも取り組んでいけるのではないでしょうか。『LGBT』という言葉はよく知られるようになっていますが、最近ではSexual Orientation(性的指向=好きになる性)、Gender Identity(性自認=心の性)の頭文字を取った『SOGI』という言葉も広まってきています。すべての人に関わる問題として安心して働ける職場環境を整えていきたいですね。(藤森)
藤森 圭子
社会保険労務士・国家資格キャリアコンサルタント公認心理師・臨床心理士
神戸大学教育学部卒
2006年 社会保険労務士登録
2008年 アーク総合法務事務所に参画。アパレル会社人事部での実務経験を活かし、労働社会保険諸法令に基づく手続き業務から労務相談まで幅広く精通している。
2016年 社会保険労務士法人Sign Postに参画。
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